広島は雨です。せっかく朝ランでオバマさんに倣って平和記念公園に行こうと思いましたが雨なのでやめました。
今日はこの後福岡に入って福岡でセミナー。夜東京に戻ります。
さてさて、昨日のエントリーでも「大手企業でも創業期や成長期はベンチャーっぽかったはず」的なことに触れましたが、この本はまさにそんなのを伝えてくれています。
シャープの伝説のエンジニア佐々木正さんの伝記的なものですが、一気に読めますし、内容もかなりお勧めです。
佐々木正さんと言えば、孫さんがソフトバンク立上げ前に自動翻訳の特許をシャープに1億で売ってそれを元手に事業をはじめたという話は有名ですが、それを買った人、孫さんの融資の保証人になった人といったあたりで有名な方ですが、この方、昔の日本が電子立国になっていくに際し、とてつもなく大きな役割を果たされた方だったんですね。
話の中で出てくる登場人物も、孫さんや西さん、ジョブズなど、今の時代を創った方々への裏には佐々木氏が居て、日本のみならず世界の今の潮流の真ん中にいらした様がとてもよくわかりました。
ここで出てくる「共創」という言葉は、とても共感できます。
自社の技術を隠す、ノウハウを隠す、産業競争的には合理的かもしれませんが、そもそもその技術は社会のためにあるものだから、教えを請いたいときたら隠さず教える。そんなスタンスが社会の進歩を促していくものと思います。
シャープの失敗は、なんでもかんでも1人でやろうとしたこと。「オンリーワン」や「ブラックボックス戦略」はいささか傲慢だ。すべてを自分たちでやり、成果を総取りしようという意図が見えるが、イノベーションとは他の会社と手を携えて新しい価値を生み出すこと。
というくだりがあります。まさにそうですよね。
市場をこれから創っていく時に、自分たちだけでというのは傲慢だしおこがましいと思う。
社会のため、市場のため、顧客のために、企業同士がまさに「同志」として取り組んでこそ、創造が生まれると私も信じています。それは入れ歯市場でも同じこと。
ここで出てくるカシオとの計算機競争など、ここでは競合し競争をしている話ではありますが、まさにベンチャー気質そのもの。シャープは今は色々大変でしょうけれど、昔のシャープはもとベンチャーだったんですね。
この読後感は、元住友銀行の頭取だった西川氏の自伝、「ザ・ラストバンカー」を読んだ時と似ているかも。
銀行も昔はもっと尖っていたし、彼らのギリギリの頑張りで日本の経済が支えられていた感が伝わる一冊。
銀行にしても大手企業にしても、やはりそうなる過程ではとてもベンチャー的だったろうし、それが日本の高度成長をつくってきたのだと思う。
今や日本経済は停滞し、ちょっとギラギラしようとすると、労働時間がどうだとかブラック企業がどうだとか、とにかく勝負しにくい社会になってしまっています。
そんな中でイノベーションなど起こるはずもないし、そのくせ日本はまだまだ進んでいる国だと思う勘違いが蔓延していますよね。「やっぱり日本すごいじゃん」的な。
あぁ、書きながら色々残念になってきた。。
要するにですね、やはり仕事の醍醐味はギラギラと勝負していくことだし、そうした中で市場を、社会をつくっていくことだし、今ある社会は過去の先人たちが創りあげたものであって、そこにのっかってあぐらをかいたとたんに自分も社会も成長が止まるよねと。
だから、今のそしてこれからの自分の仕事というのは、30年後の日本だったり世界だったり自分だったりを創ることだというように思えば、今なにをすべきか、どういう働き方をすべきかが見えてくるように思います。
少なくとも、過去の先人達が創った今の仕組みの中で働くことは、それこそAIに置き換わられる仕事になるんじゃないかな。
未来を見据えて創造をすること。これはAIには決してできない(たぶん)、我々が今やるべき仕事だと思います。